クマがたびたび人里に出没することがあります。
原因に「人工林の管理不足」があげられます。
木、とりわけヒノキやスギなどの針葉樹は、
人がつくることのできる唯一の自然資源です。
日本のいたるところで植林が行われましたが、
いつのまにか放っておかれるようになりました。
ヒノキやスギがのび放題となったことで、
地面に太陽の光があたらなくなり、
クマの好物の木の実をつける、
背の低い木が育たなくなってしまったのです。
クマは、食べものを求めて人里に下りてきます。
人と出会えば、大変なことになってしまいます。
でも、
クマは、何も悪いことをしていないのです。
人工林が管理されなくなったのは、
安く大量に手に入る外材におされ、
日本の木材が売れないという、
単純な構図によるものです。
売れなくても森林を管理する経費は掛ります、
それならいっそ、森林管理をやめてしまおうと、
人工林から徐々に人の姿が消えていきました。
のび放題になった木々は、
光を十分に得られず、やせ細りました。
根は浅く、土壌も育たず、
土砂崩れなどの災害も引き起こします。
なんとなく、イメージできてきたはずです。
日本の森は放置しておいてはいけないのです。
日本の木を使わなくてはならないのです。
木は、大きく2種類に分けられます。
針葉樹(しんようじゅ)と、広葉樹(こうようじゅ)。
文字通り訳すと、葉っぱの形状がちがうのですが、
背の高さや成長の早さも異なります。
針葉樹の葉 |
広葉樹の葉 |
針葉樹の木 |
広葉樹の木 |
針葉樹の林 |
広葉樹の林 |
針葉樹の森 |
広葉樹の森 |
針葉樹=まっすぐに伸びて、背が高い。
広葉樹=太く育って、背が低い。
針葉樹は、伐採すると根が枯れてしまいます。
新たに苗を植え、枝打ちや間伐を繰り返し、
50年ほどで伐採の時期をむかえます。
広葉樹は、伐採しても根が深く、
自然に芽をだします。
複雑な手入れをしなくても成長し、
80年ほどで伐採の時期をむかえます。
針葉樹は、
比較的短い期間で育つので計画生産しやすく、
これまでも多く植林がなされてきました。
古くは、室町時代から行われてきたとも。
唯一人の手でつくりだすことのできる資源です。
それは、日本の木、
特に針葉樹をたくさん使うことです。
素材として積極的に使うことで、
山林に人が戻り、人の手が入ります。
人の手が入ることで、間伐や枝打ちが行われ、
地面に光が入ります。
光によって、土壌が育ちます。
土壌は、植物をのびのびと育ててくれます。
土壌の養分は、川へ流れだします。
川は、その養分を海へとそそぎます。
豊かな海は、多くの幸を与えてくれます。
豊潤な恵みは、すべて森から始まっています。
ヒノキは、日本を代表する針葉樹です。
たくさん使って森に元気を与え、
その後、計画的に広葉樹を植林することで、
森の調和がはかれます。
だいじに、だいじに、ヒノキを使わせてもらう。
そうすることで、森は豊かになります。
私たちの生活も、ココロも、豊かになります。
ヒノキも、きっと喜んでくれるはずです。